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佐藤(玄)
ストーカーもどきの俺の行動を、なぜだかいい様に解釈してくれた高橋。俺をモデルにして絵を描きたいと言ってきた。そのまま俺を家に招き入れ、自分の部屋のベッドに座らせた。
「上着、それからブレザーも脱いでくれる?」
「あ、うん…」
普段、教室で見ている高橋とは違いイキイキとしている。俺は圧倒され言われるがままブレザーを脱いだ。
「身体の向きはこうで…顔はこうで…」
俺の身体の向きを変え、温かい指先で俺の顎にそっと触れた。抱きしめたくなる衝動を必死に抑える。
横目に映る高橋が、スケッチブックに向かい真剣な目をしている。規則的に聞こえる鉛筆の音が心地良い。
高橋が俺を見ている。朱里からのアドバイスを思い出していた。恐らく失恋したであろう高橋を振り向かせるチャンス。絶対に逃さない。
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