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私からやすやすと奪ったボールを、辻はそのままレイアップでゴールした。
「はい。俺の勝ち」
余裕しゃくしゃくの顔で、こっちを見る。
私はそれどころじゃない。
なんていった?今、何て言った!?
「東条、真っ赤」
言われなくてもわかるわよ。顔に熱が集中したみたいに熱い。
「な、な、なにを言って……」
「なにって、勝ったらキスなって言った」
シレっと言われて、私はますます顔が熱くなる。
「や、お、おかしいでしょ?なんでそんな事」
「そんなの好きだからに決まってるだろ?」
……好き?
好き?すき?……
「好き!?」
大声で思わず叫んでしまった。
そんな私を見て、辻がお腹を抱えて笑い出す。
「そんな大声で言うなよ。照れるだろ?」
いやいや。全然照れてないじゃない。
どう見たって余裕だし、普通じゃない。
「か、からかってたり、する?」
「何でそう思うわけ?」
「だって。そんな事今まで一度だって言わなかったし。しかもなんでこんな急?」
「仕方ないだろ。急に言いたくなったんだよ。だって東条、今日明らかに俺の事意識してたし」
うわっ。バレてる。もうそれだけで恥ずかしい。
「そしたら期待したくなるだろ?大体、好きじゃなければ毎朝、朝練なんて付き合わないよ」
「……そうなの?」
「まぁ、最初は明らかに意識されてなさそうだったから。少しでも一緒にいる時間を作りたかったんだよ」
そうは言うけど、辻の様子があまりにもいつも通りで。
私はこんなに心臓バクバクしてるのに。
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