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「で?返事は?」
「へ、返事?」
「俺の告白に対する返事。聞かせてよ」
そんなこと言われても!
展開が急すぎて、ついていけないよ。
「東条?」
気づけばすぐ目の前に辻がいて。俯いた私を覗き込むようにしている。
その瞳がなんだかキラキラして見えて、妙に鼓動が早くなる。
「わ……わかんないっ!」
逃げるように私は辻から距離をとった。
何よ、コイツ。
なんでいきなり妙な色気出してるのよ。
「東条、勝負のご褒美は?」
「……知らない!ばかぁーっ!!」
逃げるように体育館を後にした私の背中に、辻の笑い声が追いかけてくる。
「あ、バッシュ!」
体育館を出て渡り廊下を歩いていて、足元がバッシュのままな事に気がついた。
上履き取りに戻らなくちゃいけない。どうしたってまた辻と対峙する。
何よ、もう。
意地悪が過ぎるんじゃない?
こっちは意識し始めたばっかりだっていうのに。
辻の余裕な表情を思い出して、なんだかだんだん悔しくなってきた。
あの余裕な表情を、いつか崩してやりたい。
リードされっぱなしになんて、してたまるもんか。
試合開始の笛は鳴ったばかり。
いつか、追いついてやるんだからね。覚悟してなさいよ。
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