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ガンッ
ボールはむなしくリングに当たって、ネットには吸い込まれずに跳ねてしまった。
トン、トン、トトトト……
離れていくボールを追いかける力もなく、息が切れて思わず崩れるようにしゃがみ込んだ。
「はぁっ、はぁっ……」
全然スリーポイントの精度が上がらない。
前はもっとスムーズに入っていたのに。
最近はフリーで打っても外れることが増えてきた。
「何で……なんで入らないの?」
情けなくて思わず膝を抱え込む。
三年生が引退して、一・二年生の体制になった。
人数が減ったんだから当然、レギュラーに上がるメンバーが出てくる。
ありがたい事に私も選んでもらえた。今のメンバー内ではスリーポイントの成功率が高いことからSG(シューティングガード)として、スタメンに起用されることになっている。
……だけど。
肝心のスリーが全然入らなくなった。
個人練習でも、チーム練習でも。
もうすぐ新人戦だっていうのに。
周りは「リバウンドの練習になるから、どんどん打っていこー」って言ってくれるけど、入らないシューターなんてきっと相手も警戒してくれない。
このままじゃいけない。
そう思って個人で朝練始めたんだけど。
あまりの出来なさに涙が滲みそうになる。
情けない。そして、思い通りにならない事がもどかしい。
「なに丸まってるんだよ」
声と共に、コツンと頭を軽く小突かれた。
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