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「最近調子いいじゃん」  部活後はいつも同じ方面であるチームメイトの真希ちゃんと一緒に下校する。ここのところスランプだった時には、あまり部活の内容には言及してこなかった。こうして話を振ってくるという事は、はたから見ても調子が戻ってるんだなと思うと嬉しくなる。 「うん。朝練してるんだ」 「え?聞いてないー。言ってよ、そういうことは。そしたら私も一緒に朝練したのに」  少しすねたような表情を真希ちゃんが見せる。  センターのポジションをやるくらい、真希ちゃんは背が高い。  本人曰く、身長を活かすにはバスケでしょう!というノリで始めたら、夢中になったらしい。  そんな真希ちゃんがふくれっ面しているのが、なんだか可愛い。 「でもさ、真希ちゃん。朝、苦手じゃない」 「うっ……そりゃ、そうだけど」  フフッと思わず笑ってしまう。真希ちゃんもきっと調子が上がらない私を心配してくれていたんだ。 「じゃあ、奈子は一人で朝練してるの?」 「ううん。辻がね、練習付き合ってくれてる」 「ふーん、辻と?……なんでまた?」 「なんでって……なんでだろう?私が不甲斐なさ過ぎたから?」  全然シュートが入らなくなって。焦って足掻いても上手くならなくて。  あの時は本当に落ち込んでいた。 「本当にダメダメでね。それを見かねたんじゃない?それから朝練付き合ってくれてるの」  悔しいけど、感謝するしかない。  辻が根気よく付き合ってくれたおかげで、私は元通り。ううん、前以上にシュートタッチがよくなっている。 「見かねて……ねぇ」  真希ちゃんがボソッと呟いたけど、その声は小さくて私は聞き取れなかった。 「なに?」 「何でもないよ。よかったね」 「うん。おかげでみんなに迷惑かけなくてすみそう」 「なに言ってんの。たとえシュートタッチが悪いままでも、みんな奈子の事迷惑なんて思わないよ。誰より練習頑張ってるの知ってるんだし。それに奈子の武器はシュートだけじゃない。ドリブルだってちゃんと武器なんだから」  背中を軽く叩いて、真希ちゃんが笑ってくれる。 「ありがとう、真希ちゃん」  背中から、温かい気持ちが伝わってきた。
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