5人が本棚に入れています
本棚に追加
すると、自販機からマヌケな音楽が鳴った。どうやら一度も揃ったことがないスロットが揃ったみたいだ。これ、都市伝説じゃなかったんだな。
数字は「4444」と表示されていた。運は良くても、縁起は悪い。なんて考えてから、数字の下に「スロットが当たったら、三十秒以内に商品を選んでください。」と書いてあるのを発見した。
慌てて押したボタンは、オニオンスープ。缶を二本持って公園の前で立ち止まる。熱々の缶が両手の温度を上げる。柄じゃない。あまりにも。何してんだよ、と冷静な自分がブレーキをかけようとする。今日はきっと、何かがいつもとは違う。
両手の中が熱いうちに、公園の中に足を踏み入れた。さっきまで座っていた隣の隣のベンチの前で足を止める。そうして女子高生の前に立った。
なんて声を掛けようか少しの間思案して、無言で目の前に男が立っている方が恐怖を感じるであろうことに気が付いた。
「自販機のスロット、当たっちゃったのでこれ、一本貰ってくれませんか」
缶を差し出しながら、結局は事実のままを伝えた。
「ありがとう、ございます」
最初のコメントを投稿しよう!