秋風の音がきこえて

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秋風の音がきこえて

 途端に静かになった公園に、風の音が響いた。さっきまで元気に走り回っていた子どもたちは、夕日が落ちていくとともにに帰っていった。少し冷たいこの風は、今の僕には心地良い。僕にとってはここが一番落ち着く場所だ。腕を組み、目を瞑る。賑やかさに隠されていた風を感じながら、僕の意識は徐々にぼんやりとしていった。  寒い。すっかり空は暗くなって、気温も下がったみたいだ。こんなに寝るつもりはなかったのに。辺りを見回すと、横に並んだベンチを一つ開けた、僕が座っているベンチから隣の隣のベンチに、女子高校生らしき人が座っていた。    着ているのはこの辺の高校の制服ではなかった。誰かと待ち合わせだろうか。こんな夜に。それか、塾の帰りで迎えを待っているとか。そんな想定をして、立ち去ろうとした。  もう一度ちらりと彼女を見ると、スマホを見るでもなく、肩を縮めてただそこに佇んでいた。風よりも静かな彼女は、何故か存在感があった。    僕は立ち上がって公園のすぐ外にある自販機でオニオンスープを買った。コーンスープはあまり好きじゃない。だから珍しくオニオンスープを売っているこの自販機があるのもこの公園を気に入っている理由の一つだった。
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