再開した彼女と初めましての私ー魂のありかー

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「また会えたね。世界」  はフォルツァ=リー。その自覚がある。ふふっと笑いが漏れた。 「ああ! これよこれ、これを確かめたかったの!」  スフィア90の展望広場で風をいっぱいに受ける。独立循環生態系型コロニーの空気は記憶にある通り、軽やかな匂いがした。ここからはスフィア90の中心部が一望できる。コロニー都市は居住可能惑星に着いた今、まさに生まれ変わろうとしていた。 「また新しい人生が始まるのね。フォルツァ=リーの」  その景色全てを抱きしめたくて、手を伸ばす。だけどその時。 『だが、君は本当にフォルツァなのかい?』  脳裏で誰かの声が囁いた。  スフィア90は目的地の星系No.64の惑星コトリスに着き、守種船としての役割を終え、惑星植民地化の総合基地ステーションとして存在を変えなければいけなかった。  彼女・フォルツァ=リーはその瞬間を狙っていた。  彼女は死を恐れた。だから、自身が作った最後のAIに仕掛けを施した。  自分以外スフィア90のAI・プトレマイオスの基幹プログラムの変更ができないようにし、コロニーの存在が変わる時、プログラム修正の為に自身のクローンを作らせる。  そしてそのクローンがプログラム変更しようとAIにアクセスした途端、デジタルデータ化して埋め込んでいた自分の脳のデータをそのクローンに流し込む。  そうして、クローンの体を乗っ取り、何百年後かの未来に復活する。それが彼女の企み。  だが、その彼女を第三者視点で見ている私は一体誰だ?  いや、自分が誰かは分かっている。私はメーテン=フォル=リー。フォルツァの復活が必要になり作られた彼女のクローン。  メーテンというのは、フォルツァが子供の頃お気に入りだった絵本の登場人物の名前だ。  羊のメーテン。私もそのキャラクターが気に入って、自分の名前にした。  私が唯一、彼女に共感を感じたのはメーテンに対する愛情だけだ。  可愛い仔羊のメーテン。神に捧げられた生贄のメーテン。それが私。
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