再開した彼女と初めましての私ー魂のありかー

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「またお会いできましたね。マスター」  ごめんよAI君。私は君のマスターじゃないんだな。  それにしても私のオリジナル。どうしてこんなお人好しそうな応答するAI作った? 人の良いAIを騙しているんじゃないかって罪悪感に襲われるじゃないか。  まぁ、このAIに魂は実装されていない。生成対話型AIは自然な応答をしてくれるけど、それは機械に過ぎないAIに魂があると錯覚させるだけだ。  もっとも人間には魂があるかなんて、誰も証明できないけど。 「マスターのご希望どうり、私はこのコロニーを管理してきました。二百年ぶりにコロニーの状態を確認された感想はどうですか?」 「何も問題ないよ。プトレマイオス、君の管理は行き届いてる」  と言ってみたものの私が現実に目覚めたのは今日で、コロニーの中なんて一瞥すらしていない。  クローンとしてのメーテンは人工子宮の中でフォルツァの人生を追体験する高速育成を受けた。  だから、この世界がどのようなものなのか、知らない。  いや、フォルツァの知っている世界は把握しているし、フォルツァが生きていた時代から二百年経った現在の状況も教えられてはいる。  でも、それらは全てただの知識だった。実際体験したわけじゃない。  人工子宮から出てすぐにプトレのプログラム変更に駆り出されて、外の世界がどんな様子なのかはさっぱりなのだ。  そして。 「ではマスター。プログラム修正の直接ブレイン・アクセスを始めます」 「了解、プトレ」 「ブレインコントロール・ダイブイン」  私の脳とプトレの主・主演算装置を直接繋いでAIの再プログラミングは行われる。その為の設備がベッドの上に横になっている私の周りを取り囲んでいく。  だんだん落ちていく照明の中で、少し考えていた。  ……いくらAIに誤認されたとしても、私はフォルツァではない。人工子宮の中高速育成でフォルツァの人生を追体験しながらも、それはではない他人の人生を第三者視点で見てるような認識しかできなかった。  はフォルツァを他人と認識している。それは、彼女と私は魂が違うから? を分離しているのは、魂なんてものがある証拠なのか? 「マスター。接続を開始します」  瞬間、視界が切り替わる。 「接続完了」  気付くと私はデータの海に沈んでいた。 「さて、プトレ。君の基幹プログラムはどこだったかな?」 「ご案内します。マスター」  AIの案内に従い、深海に潜るように階層を降りていく。多種多様なデータの底に。 「あれが基幹プログラムです」  光る木の幹のようなイメージがそびえていた。 「接続を開始する」  樹皮に触れる。中身を確認しようとした時、それは起こった。 「な! なんだ!!」  ありえないことに、樹からデータが私に向かって流れ込んでくる。何かのトラップか? 慌てて基幹プログラムとの接続を切断しようとした。それが私で有れた最後だった。
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