再会

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再会

「あれ? 琴葉(ことは)⁉」  会社近くの最寄り駅で、目の前を横切った女性を一目見て、私は声を上げた。 「あれ? 璃々花(りりか)? 嘘でしょ? 久しぶりだね」  肩辺りまで伸びた黒髪を巻いた小柄な女性、確か名前は……如月 琴葉(きさらぎ ことは)。  中学時代の同級生に再会したのだ。 「仕事帰り? この時間に外にいるなんて」  お洒落なジャケットを羽織った琴葉は、首を傾げ私に問いかける。 「そうなの。今ね、あそこの会社に勤めてるんだ。知ってる?『saturation』っていう」  ファッション関係の有名な会社だ。当然、琴葉も知ってるはず。 「凄いね、相変わらず。あ、まだ、付き合ってるの? 彼と」  称賛した言葉の後に、琴葉の口から出た言葉で固まった。  彼とは、琴葉にとっての好きな人だ。その人を、私は奪い取った。 「え、あ、彼とは……別れたの」  でも琴葉は表情を変えずに、微笑んでこう言った。 「そっか。新しい人ときっと、出逢えるよ。素敵な人とね」 「ありが……とう」 「じゃあ、私は帰るね」  優美に手を振りながら、琴葉は暗闇の街へと歩いて行った。  その日は何とも思わず、家に帰った私は眠りに落ちたのであった。  そして久しぶりに、夢を見た。
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