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「ちちうえ?」  突然の言葉に後ろ毛を膨らましながら、えっ、とセイが声を上げる。 「私の父上は十年も前に亡くなっているぞ。……私が看取って、弔ったんだ。遺体は焼いて骨にした。お前にその姿を見ることなんて出来るはずがない」  そうなんだが、とロウは呟く。しかし、と続けて、笑みを刻んだ。 「高い山は御魂の国との境にもなると聞く。……俺の悩みようがあまりに無様だったから、見かねて一言言ってやろうと庭に招いてくださったのかもしれん」
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