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6
「趣味、ってところだな。生活の中に余暇を楽しむ余裕があるのは良いことだ」
お前がそれを言うのかと笑いながらトキノに言われ、ロウはぐっと口ごもる。
「俺にはまだ理解できそうもない趣味だが……。飛べずの山っていえば、北東側にあるでかい山だよな。麓の森の端にそこそこ大きい規模の村があるはずだけど」
そう言って、セイは今いる御城のある王都と、ロウの暮らす城塞とその周辺の街、そこからさらに飛べずの山と呼ばれる山の位置を頭の中で描く。翼を持つ種族ならば、位置と距離の感覚は簡素な測量で描かれただけの地図を読むより正確だ。
正確であるがゆえ、新たな疑問が生じていく。
「でもそこで、何日も費やせるものか……?」
疑問に少々疑いの混ざる言葉を向けられて、ロウは苦笑した。どこで何をしてきたのだと、促す声は言動を疑うのではなく、何かに巻き込まれたことを隠しているのかという心配に近い。
軽く背中を小突かれるようなその言葉を受けるとロウは居住まいを正し、辿った道をまず語る。
「麓の大きな村までは徒歩で半日程度の距離だった。翼で行ったんで一刻もかからなかったか。そこからさらに山の入り口にあたる村まで少し歩いたが、そっちもそう長い距離というほどでもない。山道も登って降りるだけなら丸一日あれば十分と聞いていたから、最初は三日程度で塒に戻るつもりでいたんだが……」
山に入ってから人を助けたものだから。と続いた言葉に、トキノとセイは呆れたという眼を向ける。
「人助け……」
表情の穏やかさはそれに由来するのだろうか。トキノが笑むと、ロウは苦笑する。
「放っておく訳にいかない出会い方だったからな。……だがまあ、結果として良い出会いだったよ」
心から満足した様子の声に、呆気は瞬きの間に驚きへ変わる。
「お前、一体、どこの誰を助けたんだ?」
この男にそうまで言わしめる。相手を気にするなと言うのは、無理な話だ。
セイが促すと、ロウは己の主が望んだ土産話、休日の間にあった出来事を語り始めた。
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