0人が本棚に入れています
本棚に追加
テレビに屈強な男が映っていた。男は柔道着の上に西洋の騎士風の胸あてをつけ、兜をかぶり、剣を握っていた。男は一人で畳の部屋に立ち、真顔でこちらを見つめながら、ポーズを決めて叫んだ。
「カナダ特殊隊!」
最近の戦隊物かしら? 彼女は思った。戦隊物にしては地味に見える。しかも少し怖い。これで子供が喜ぶのだろうか。男は真顔でこちらを見つめながら、別のポーズを決めて叫んだ。
「カナダ特殊隊!」
カナダ特殊隊は一人しかいないのかしら? 彼女は思った。一人なのに『隊』と呼べるのだろうか。男は真顔でこちらを見つめながら、別のポーズを決めて叫んだ。
「カナダ特殊隊!」
カナダ特殊隊はそもそもどのへんがカナダなのかしら? 彼女は思った。カナダ的要素が皆無ではないか。男は真顔でこちらを見つめながら、別のポーズを決めて叫んだ。
「カナダ特殊隊!」
最初のコメントを投稿しよう!