あなたと何度でも

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  陽菜(ひな)は感動していた。見渡す限りの水、水、水。 「淼淼(びょうびょう)たる」とはこのような事を言うのかと思う。  湖というけど、まるで海みたいだ。  写真などで見て知ってはいても、実際に眼前にすると迫力が桁違いだ。夢中でシャッターを切る。満足のいく風景写真が撮れたところで思う。  わたしの写真も欲しいな。  陽菜は大学生と若いが、今時の子のありがちな、何でも自撮り、自撮りという趣味はない。だから、今回のは旅行は一人旅と決めても、別に写真をどうしようとは思わなかった。しかし、目の前の光景は心を変える。 「どうしようかな……」  陽菜は極度の人見知りというわけではない。でも、面識のない相手に声を掛けるのは苦手だ。周りには盛況というほどではないが人はいる。頼めばいいのだが、踏ん切りがつかない。オロオロとまごついていた時、背後から声を掛けられた。 「写真?」  陽菜が振り返ると、少し年上と思われる女だった。 「はい! 湖をバックに撮ってもらいたいんです!」
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