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筆者「鳴上さん、お祝いありがとうございます!! 人生初の昇進です」
りな「鳴上さん、「昇進、夢落ちじゃないですよね」とか疑わなくて良いんですか?」
筆者「何てこと言うんだこの子は!! ちゃんと給与明細の中に辞令の紙切れが1枚入っとったわ!! 私、昇進する話承諾した覚えないけど!!」
架名「どこかで聞いたような話だな」
綾「あぁ、りな兄さんが未汝姫の護衛に就く時の状況と一緒だよな。紙切れ一枚ひらっと渡されておしまい」
筆者「……私、自分の書いた物語の一部がなぜこうも自分の身に起きるのか、そろそろ誰か教えて欲しいんだけど、どういうこと?」
りな「神様が自分の書いた言葉に責任を持てって言って下さってるんでしょう」
筆者「……いや、単なる空想に責任持たされても困るんだけど。というかりなは確か、文花様から口頭で一応辞令の話は聞いたわよね!? 私、ほんとに何も聞かされてなくて紙切れ一枚ひらっと出てきたんだけど」
りな「口頭で聞いた時には、宮廷内インフォメーションに辞令通知が流れてますから大差ないですよ。紙切れでない分、破り捨てることもできないし……こればかりは電子データ、質が悪いですね」
綾「そんなところでペーパーレスの弊害を実感するのもどうなんだ」
架名「まぁでも、新人がみんな筆者より年上だから、肩書だけでも上司にしておかないとナメられ過ぎて困ると思っての昇進だろ?」
筆者「……事実そうなんだろうけど、去年作った展示会用商品動画の功績が認められたとか、1台あたりの仕入れ単価下げまくったとか、正社員2.5人分を半年以上抱えて仕事してたこととか、情勢を先読みして在庫手配しまくったからこの部品不足難を何とか乗り切ってこられてるとかを評価されたわけじゃないだろうとは思ってるけど、言葉にしないで架名。やるせなくなっちゃう」
綾「何かポンコツのくせに色々あるぞりな兄さん」
りな「中身を見たらそうでもないですよ。展示会用商品動画なんて、大体小説書くのと舞台作るのを足したような作業ですしね。単価下げまくったと言っても、大量発注したら自然と下がるでしょう? 正社員2.5人分というけど、ほぼ回らず放置するか誰かの手を借りてますし、情勢を先読みしたのはポンコツじゃなくて仕入れ先の出来る営業マン情報を流用しただけですしね」
筆者「……そうやって私の心を折りに来るのか」
りな「事実をありのままに伝えないと詐欺ですよ、ポンコツ」
筆者「詐欺って、ありのままって……ちょっとは認めてくれてもいいと思うんだけど!!」
綾「ポンコツが先行で大量発注した在庫、今倉庫にどれだけ増え続けてると思ってんだ? 置き場ないのはポンコツのせいだろ?」
筆者「そうは言っても、まだまだ半導体の影響は残ってて、今まだ納期1年半なんだからね!! いまから発注しても1年半後にしか入ってこないの。そんなの工場止まっちゃうから在庫残ってる方がいいのよ」
綾「ものは言いようだな」
りな「ですね。残ってる在庫、大体8か月分とかありますけどね」
筆者「いいもん。今入ってる受注分は全部網羅してるから」
綾「不良品じゃないといいな。入荷から1年過ぎたら保証対象外だろ?」
筆者「そ、それはそうだけど、そんなの仕入れ先の営業マンに頑張ってもらうしかないじゃない? そもそも納期をここまで遅延させてるメーカーが悪いのよ。私のせいじゃない」
架名「まぁまぁ、そのくらいにして次に行こうか」
筆者「ポラードさん。「二人とも良く分かってるな~」って……二人(ちらりん)」
綾「やっぱそうだよな」
りな「読者が求めてるのは、そういうポンコツの姿ですよね」
綾「昨日1日かけて作った結婚式のオープニング動画は、完成間近まで作り上げたところでシステムダウンしてデータ全部消えたぞ」
りな「小説書く時もそうですけど、途中で保存ボタンを押さないと駄目だっていう学習はいつになったらするんでしょうね」
筆者「うぬぬっ」
りな「時間、無駄にしましたねぇポンコツ。この忙しい時に」
綾「まだやるべきこと大量に残ってるよなぁポンコツ。そんで? またそのストレスを衝動買いで発散するのか?」
りな「最近、衝動買いする金額が異様に高いですからね」
綾「だよな。それでなくとも色々今から金かかるって時に、なに散財してんだか」
架名「俺思うんだけど、通帳にいつも以上に残高を残すと安心して使っちゃうんじゃないか?」
綾「あぁ、クレジットの限度額を一時的に上げたから、それに伴って毎月貯蓄してる口座から通常支払いに使ってる口座へ残高移したもんな。でもさ、結局婚約者が結婚関連費用全部払ってくれてるんだから、ポンコツがそれやる意味なくないか?」
りな「全くですね」
筆者「そうなのよ。あとで口座に半額くらいは放り込もうと思ってるんだけど、今、カードの支払い金額大丈夫かしら? とちょっと心配はしてる。なにせあちらは一人暮らしだし」
綾「そうだそうだ、ポンコツがエステだブライダルアクセサリーだなんだと散財してる間に、粛々と必要経費を支払ってる婚約者の身にもなれと言うんだ」
筆者「いや、それも必要経費だと私は思うぞ」
架名「女の子はお金かかるからなぁ……」
りな「ポンコツの散財を甘く見たらだめですよ兄さん」
筆者「いいもん。今残業しまくって稼いでるから!!」
綾「ポンコツが将来、1ま~い、2ま~い……9ま~い、一枚足らない。と札を数えてないといいな」
筆者「皿じゃなくて札!!?」
りな「成仏せずにとどまるんですか。ポンコツにそんな執着するような未練が残るとは思えないんですが(ほら、最近忘れっぽいし)」
筆者「どこまで私を馬鹿にする!!」
綾「りな兄さん、食べ物の恨みは怖いって言うぞ」
りな「別の食べ物渡したらポンコツの機嫌も直りますから大丈夫ですよ」
架名「……お前達、おちょくるのもそのくらいにしておきなさい」
筆者「ふっっ女の恨みは末代まで続くのよ。覚悟しろそこの双子!!」
架名「元気だなぁ」
筆者「Jamieさん。フラグを立てて、何事も無ければ良し、でも大抵何かアルンデス」
綾「何で片言」
筆者「だって、実際そうだもの。で、やっぱりありましたよ。色打掛の選んでおいた候補が悉く似合わないだの色が写真と違うだので、大慌てしました。無事何とか似合うものがあって良かったです」
りな「さっと探してくれた婚約者に感謝ですね」
筆者「全くです。本当にどうしようかと思っていたので。あとは、結婚式当日が一番心配で(特にうちの親族、ほんとなにやらかすか分からないのが心配。まぁ、私に嫌味を言うだけだろうから他には影響でないけど、私の堪忍袋が心配)と、新居探しと引っ越しと結婚指輪と婚約記念品と結納やり直しとウェルカムボード作成とムービー作成とケーキのレイアウトとドレス小物合わせと髪型相談と引き出物と参列者のホテル手配と……何か、目が回りそうなんだけど」
綾「だから色々前倒しで動いてるはずだろ?」
筆者「これ、本当に前倒しかなぁと思う今日この頃。だってもう8月下旬だし?」
りな「ポンコツの動きが遅いからですよ」
筆者「いや待て、結構頑張って動いてるんだけど?」
綾「途中で手を抜いたろ? 具体的には前撮り終わった直後から」
筆者「いやだって、グッタリ度合いが酷かったし」
りな「やっぱり体力つけておくべきですよ。正社員の共働きで家事しなきゃいけないんですよ」
綾「そのうちそこに、子育てもプラスされるんだぞ」
架名「こっちに戻ってくる頃には、新居建設もあるだろうし」
筆者「……あの、ほんともう結婚式やらなくて良くない?式場を借りて写真だけ撮って終わりとかダメ?面倒臭すぎる」
りな「あと花嫁の手紙も書かなきゃいけませんよね」
筆者「一番それがやりたくない。だから結婚式やりたくないと言っても過言じゃない程イヤ。だからJamieさん、楽しみじゃない。というか、あれを楽しみに思える秘訣があるなら教えて欲しい」
綾「ここまで結婚式に夢がない女もどうかと思うよな」
架名「まぁでも契約してしまったんだから、頑張って走り終えるしかないと思うよ」
(2023.8.20)
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