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「……ん?おぉ……!」
沈黙が何分か続いた後、ふと景色を見ると綺麗な花畑が広がっていた。今日は天気が良いし、風もそよそよしていて、すごく心地が良い。
「ロコ、待ってろ」
ウィザーは先にジョセフィーヌちゃんから降りた後、俺に手を出してくれた。結構馬って乗り降り大変で正直ウィザーの助けがないと怖い。
「ありがとうございます」
俺はジョセフィーヌちゃんから降りて、頭を撫でてあげた。こんな男2人を遠くまで運んでくれるなんて疲れるだろうに。
「散策するんですか?」
「あぁ」
「ジョセフィーヌちゃん、おいで」
俺は手綱を持って、ジョセフィーヌちゃんの隣を歩いた。にしても、綺麗なとこだ。こんなとこあるなんて知らなかった。ここにはネットがないから綺麗な場所もなかなか知ることができない。
「ここからは2人で歩く」
「あ、では、木に繋いできます」
俺はジョセフィーヌちゃんの手綱を木に括り付けた後、ウィザーと一緒に花畑を歩き出した。てか、男2人で、しかも、上司とこんなとこに来てもなぁ。
「綺麗ですねぇ……。いいお天気で……」
会話がなくなった時にする会話ナンバーワンをしてしまった。でも、上司と部下の会話なんてそんなものだ。
俺が1人会話に困ってると、ウィザーは花畑の真ん中に座り込んだ。
「……陽気がいいからのんびりしちゃいますね」
これは世間話じゃなくて、本音だった。俺はウィザーの隣に座って、ぼけーと空を眺めた。
「ロコのそういう顔が見れて良かった」
そういう顔とは……?と思って、俺がウィザーの方を向こうとすると、ふいに髪をかけるように耳の上に何かが触れた。
「ロコ」
ウィザーとこんなに近づいたのは初めてかも。やっぱり顔が整ってて綺麗だ。
「魔王を倒したら、俺と結婚しろ」
……これはっ……!完全なるフラグ!
「……ロコ」
「え、あぁ……!」
嬉しすぎて今意識がどこかに行ってた。てか、本当にこんなセリフ言うやついるのかぁ〜……、あ?え、今……誰に、むけて……。
「明日、魔王のとこに行く。だから、俺のこと待ってて」
……あ、ぇ、うぇ……?おれ……?おれにいってる??
「ロコ、ちゃんと迎えに行くから」
これまで見たことがないような甘い顔をするウィザーを見て、俺は血の気が引く感覚を覚えた。
……マ、マジか…………。
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