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「おい、飯は?」
もっとクソクソライフ。なんだ、こいつ。
「聞いてんのか?」
こいつは俗に言う勇者。俺はどうやら異世界ってやつに転生したらしく、最初は魔法使いになれる!仕事しなくていい!って浮かれてたけど、現実はそんな簡単じゃない。
畑仕事は思いの外大変だし、地域の人と仲良くしないとだし、なんやかんや仕事しないといけないし。
「おい」
「はいはい、なんですか?」
そしてなによりこのクソ勇者の下っ端にならないといけないことがムカつく!
「お茶」
「……お湯はそこにあるので、」
「知ってる。お茶」
クソ〜〜!なんで異世界に来てまで俺はOLみたいなことしないといけないんだよ!もう自分より目上のやつに気を遣いたくねーのに!
「じゃあ、カップください」
クソ勇者は俺に無言でカップを渡してきた。せめて「ありがとう」とか言えよ!
俺は内心イライラしながらもカップにお茶を入れてやった。ちなみに異世界ではお茶は高級品らしい。俺はエナジードリンクが飲みたいけど、ないんだよなぁ、残念。
「はい」
俺がお茶を渡すと、クソ勇者はまた何も言わずに受け取りやがった。
「お前、次の戦い来なくていいから」
「は……」
ここで落ち込む人が大半かもしれない。でも、俺の反応はこうだ。
よっっしゃあぁぁ!!!!これでパワハラ受けずに済む!!!
「あ〜、そうなんすね……。残念ですぅー……」
ふっふ……、これでこいつともおさらばだ。俺なんて大した魔力も戦闘能力もないのに、戦えっていう方がおかしいんだ。
「だから、しばらくは俺の身の回りのことしろ」
「は……?」
え、おれの、みのまわりのこと……?
「もういい。これ、片付けて」
この……、クソパワハラ勇者めっ!!!!
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