立たすぜ!フラグ!

6/6
32人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「ロコ」  今日も適当にクソ勇者の部屋の花を変えたりしてると、急に声を掛けられた。足音くらい立てて欲しいものだ。 「なんですか?」 「……その、……花」  あ。やべ。またセンスないとか言われるやつ?あー、前も俺が作ったポスターボロクソ言われたんだよなぁ……。って、それは前世か。 「買ったのか?」 「これは昨日の会食で使った花らしくて、勿体無いからって貰いました」  ウィザーは聞いてきたくせに何も返事はせずに黙っていた。文句言われるよりはマシだけどね。てか、花の飾り方分かんないな……。なんだっけ?3点目立つようにしてーみたいななんか聞いたような? 「……昨日は迷惑かけた」 「えっ、あ、いや、そんな迷惑なんかじゃ……」  まさか昨日のことを謝ってくるとは。まぁ、別に吐かれなかったし……、いや、待て。恩を売ったことは大きいんじゃないか? 「……それならよか「迷惑でした!!!」  そう、俺が今しないといけないことはフラグを立てること。それだけなのだ。それさえできれば、俺の幸せ異世界生活は現実となる。 「昨日の会食、どうでしたか?いい出会いはありましたか?」 「……王様に何事もなかった」  あー、これは完全に仕事モードだったやつだ。せっかくのフラグチャンスが……。 「昨日のこと誰にも話さないので、その代わり今度俺が可愛い子を紹介してもいいですか?」 「は?」  正直、女の子の知り合いは少ないけど、国王の周りにいる子達とかに声を掛ければなんとかなりそう。それに、顔がいいからウィザーのファンって多いし……。 「なんで?」 「えっと、……あの、……ウィザーにも幸せになって欲しいなって!」 「いい。いらない」 「でも、ほら……、あの、ウィザーは優秀だから魔王倒すだろうし、そしたらその後幸せをあの、」  うわー、プレゼン下手すぎ。あー、もー、やんなる……。 「いらないから」 「……すんません……」  あーあ、なんか昔もこういうことあったような……。あ、契約の更新しに、ってダメだ。前世のことは思い出さないんだった。 「……そろそろ魔王討伐の編成を組む」 「あ、そうなんですね」  てことは、絶好の「この戦いが終わったら、結婚しよう」チャンスなのに。やっぱそう簡単にいかないよなぁ……。 「……ロコはなんで俺に幸せになって欲しいんだ」  おおっと……、これは……。素直にフラグ立てたいから!とは言えない。でも、こういう時はやんわり濁すのが勝ちだ。 「幸せになって欲しいのに理由なんていりますかね……?」  ブラックすぎて辞めてった先輩が最後に教えてくれた。それっぽい根本を突きつけて、やんわり逃げる。碌に考えず批判する上司に有効。 「……っ」 「あっ、花瓶に水っ……。あ、ちょ、行ってきます!」  やべやべ、水入れ忘れてた。これだからペット飼うなって親に言われてたんだよなぁ〜。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!