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ここは日本の端っこ辺りにある県の、ミズタキ銀行の支店である。
ミズタキ銀行は日本全国にある。つまり、そのくらい大手の銀行だ。国から宝くじの販売を委託されてもいる。
俺は去年の九月、首都圏から、この日本の端っこの辺りにある県に転勤してきた。
首都圏勤務だったのに、いきなりこんな田舎に転勤させられたのは、会社の期待に応えられてなかったということなんだろうかと、ぼんやり考える日々が続いた。
だが、十月のある日、彼女がうちの支店に来店した。
「ね、この人…」
「うん。前にも来た人だよね」
複数の行員が、他の客に分からないよう、こっそり騒いでいる。
俺はこの時、カウンターの奥で、振込みや口座開設等の処理をしていた。
話題の的になっているのはどんな客なんだろうと、待合スペースを見ると…。
「う…」
上着を着たペンギンが、客用の椅子に座っていた。
ペンギンは可愛らしい帽子もかぶっていて、女性用のバッグを持っている。
多分、メスだ。
しかし、行員達のざわめきの原因は、別のことだった。
「宝くじ?」
「しかも二回目」
ペンギンは宝くじに当たったらしい。今日はその当選金を受け取りに来たのだ。
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