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2.
あれから半年が経った。その間、清水さんのことを忘れていた訳ではないが、話題に出たことも特になかった。
彼女は今日、再びうちの銀行を訪れている。
今回で三度目の高額当選だが、いくら当たったんだろう?
「一千万円のご当選、おめでとうございます」
上司と俺は、前回と同じように、顧客対応室で清水さんと向かい合っていた。
「ありがとうございます」
清水さんが軽く頭を下げる。
今回も一等の当選だ。でも、今回も前後賞はついてない。清水さんはいつも一枚しか買わないらしい。
「防犯のためにも、今回は当行に口座を作っていただいたほうがいいと思うのですが…」
上司がうやうやしく勧めると、ペンギンの清水さんは素直にうなずいた。
「はい。作ります」
清水さんは、今までうちの銀行に口座を作っていなくて、前回と前々回の当選金を、彼女は現金で持って帰っていたのだ。
うちの銀行は全国規模で見ると大手だが、この県の中ではマイナー扱いで、生活には地元の銀行の口座があれば十分なのである。
「半分は普通預金に入れて、半分は定期預金に入れてください」
もう決めていたのだろう。清水さんが言う。
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