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1.
「ね、この人」
「うそ。また?」
「三回目だっけ?」
窓口から離れたところで、数人の行員が秘かにざわめいた。
なんとなくの予感で、俺は順番待ちをしている客の群れに視線を走らせる。
いた。
彼女だ。
客用の椅子にどっしりと腰を下ろしている。
上司が俺のところに来た。相変わらずポーカーフェイスだ。
「笹山くん、今回も対応お願いね」
「わかりました」
俺もポーカーフェイスで返事をする。
しかし、心は震えていた。
三回目?
本当だろうか…。
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