おばさんと大福

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 仕事帰りに彼女は家の近くの道を歩いていた。毎朝出勤するときと帰宅するときに、必ず通る道だった。道は自然に囲まれていた。星が輝いていた。夜風が心地よかった。お気に入りの道だった。道に白くて丸い犬がいた。 「大福?」  彼女はその犬を知っていた。大福という名の老犬だった。大福は毎朝おばさんに連れられて、道を散歩していた。おばさんの姿はなかった。 「今日は一人なの?」彼女は大福にいった。胸騒ぎがした。おばさんのことが心配になった。おばさんがどこに住んでいるのか知らなかった。彼女は交番に電話した。 「今から向かいますので、あなたは帰って結構です」警察官はいった。  翌朝彼女は道を通って駅へ向かった。おばさんと大福を見かけなかった。  彼女は仕事帰りに道を歩いていた。道は自然に囲まれていた。星が輝いていた。夜風が心地よかった。何も変わっていなかった。何も変わっていないようで、何かが変わってしまったような気がした。
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