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母の日にカーネーションを贈る。
赤いカーネーション。
素敵な文化だけど、私にはつらい思い出がある。
小学生の私に、工作の時間にカーネーションのプリントが配られた。母の日にお母さんに感謝してプリントに色を塗る課題だ。そして、お母さんにメッセージをもらう宿題が出たのだ。
しかし、私には、母がいなかった。
いや、いるのだがこの世にはいなかった。
お母さんは、死んだのだ。私を産んですぐに。
だから、宿題を提出できない。まさか天国にメッセージを貰いに行くことはできないから。
私の他にも、もう1人クラスに同じ境遇の子がいた。
私たちは、先生にカーネーションは好きな色で塗りなさいと指示され、メッセージは誰でも良いから書いてもらうようにと言われた。
みんなは、赤いカーネーションを仕上げて行くのに。
だから私は毎年カーネーションを見ると複雑な気持ちになる。でも自分が母になり、家族がくれるカーネーションはとても嬉しい。
みんな自分の好きな色のカーネーションを私にプレゼントしてくれる。小学生のときから傷つき自分のコンプレックスとなっていたカーネーションは、家族の優しさで傷が癒され温かい気持ちを運んでくる。
みんなが私にありがとうという。
私こそありがとう。
ありがとうがまた心を満たしていく。
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