0人が本棚に入れています
本棚に追加
今日も大きく手を振りながら去って行く少女を見ながら、男は残りの時間がもうないことを考えていた。
もう少しすれば、あの少女は自分の父親を殺すことになる。執拗な暴力から自分の身を守るために、寝ているところを襲うのだ。
その後、自分を罵ってきた周りの人物をどんどん殺していく。その中には金銭を得るためだけに殺した人物もいた。今になってみれば、その理由も分かる。彼女はやけどの痕を消すために金が必要だったのだ。
男は少女が消えていった方向をぼんやりと眺めた。
少女のことを殺すという選択肢が、もうとっくに消え失せていたことに気がついいたのはこの時だった。
最初のコメントを投稿しよう!