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その日、男は少女に探していた人物が見つかったと伝えた。
少女は悲しそうな顔をしてから「……そうですか」と言った。
「お前のおかげだよ。ありがとうな」
少女はしばらくの間、そっぽを向いて男と目を合わせようとしなかった。
「……お前じゃないです。エマです」ふてくされたようにそう言った。
「そうだったな。ありがとう、エマ」
男は少女に近づいて、頭をぽんぽんと撫でた。
「子供扱いしないでください。それにこんなところをあなたお探しになっていた女の人に見られたら大変ですよ」
「言ってなかったか? 探していたのは妹だぞ」
少女は、「……え」と口からこぼしてから恨めしそうに男を見上げた。
「……そういうのはもっと早く言ってください」
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