1.新しい場所

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目をしぱしぱさせ、コンビニのブラックコーヒーを飲みながら、駅から研究所までの道を歩く。 ラボが近づくに連れて、昨夜の寝不足が、全くの無駄だったのではないかと、気がふさいできた。 行けども行けども、目に入るのは古びた建物ばかりなのだ。 トタンで作られた掘っ立て小屋のような工場。 ツタに覆われて輪郭のわからない建物。 傾いた電柱……。 昨夜俺の心を躍らせた空想の研究所は、どこにもなかった。 つまり、銀色ピカピカの円盤型の建物だとか。 全面ガラス張りの、奇妙なデザインのビルとか。 映画じみた舞台装置は、どこにもないのだ。
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