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目をしぱしぱさせ、コンビニのブラックコーヒーを飲みながら、駅から研究所までの道を歩く。
ラボが近づくに連れて、昨夜の寝不足が、全くの無駄だったのではないかと、気がふさいできた。
行けども行けども、目に入るのは古びた建物ばかりなのだ。
トタンで作られた掘っ立て小屋のような工場。
ツタに覆われて輪郭のわからない建物。
傾いた電柱……。
昨夜俺の心を躍らせた空想の研究所は、どこにもなかった。
つまり、銀色ピカピカの円盤型の建物だとか。
全面ガラス張りの、奇妙なデザインのビルとか。
映画じみた舞台装置は、どこにもないのだ。
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