リセット&エンドレス・サマー

13/17
前へ
/17ページ
次へ
 汗と涙がとめどなく流れ落ち、歯を食いしばって震えている。  浄一はその姿に、物足りないながらも興奮していたし、他の者たちは哀れな少女の苦痛などどうでもよかった。  しかし、総理大臣銃撃事件をリセットできる期限が訪れれば、強制的に状況が動き出すことはわかっていた。  「う、うあああっ…」  下半身の激痛で抑えがきかない瑠璃が、震えて泣きながら小便を漏らしたのが、動き出す切っ掛けだった。  びちびちと撥ねる尿に吉井が顔を顰めた瞬間、黒スーツたちが一斉に飛びかかった。  怒号と銃声が響き吉井は取り押さえられたが、その顔には不敵な笑みが浮かんでいる。  「作戦失敗ね」  三角木馬の上で、瑠璃は頭を撃ち抜かれて死んでいた。  こうなれば吉井も生きては帰れないが、最大の目的は達成したのだ。  愛する妹の死に、浄一は意外なほど落ち着いていた。  単純な死では能力が発動せず、もう瑠璃は戻ってこないというのに。  「その女、貸してください」  浄一の申し出に、黒スーツの男が怪訝そうな顔をする。  「以前から可能性は考えてたんですけど、試す機会が無かったんで」  「なんだ?」  「リセットする能力、瑠璃のものなのかなって」
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加