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汗と涙がとめどなく流れ落ち、歯を食いしばって震えている。
浄一はその姿に、物足りないながらも興奮していたし、他の者たちは哀れな少女の苦痛などどうでもよかった。
しかし、総理大臣銃撃事件をリセットできる期限が訪れれば、強制的に状況が動き出すことはわかっていた。
「う、うあああっ…」
下半身の激痛で抑えがきかない瑠璃が、震えて泣きながら小便を漏らしたのが、動き出す切っ掛けだった。
びちびちと撥ねる尿に吉井が顔を顰めた瞬間、黒スーツたちが一斉に飛びかかった。
怒号と銃声が響き吉井は取り押さえられたが、その顔には不敵な笑みが浮かんでいる。
「作戦失敗ね」
三角木馬の上で、瑠璃は頭を撃ち抜かれて死んでいた。
こうなれば吉井も生きては帰れないが、最大の目的は達成したのだ。
愛する妹の死に、浄一は意外なほど落ち着いていた。
単純な死では能力が発動せず、もう瑠璃は戻ってこないというのに。
「その女、貸してください」
浄一の申し出に、黒スーツの男が怪訝そうな顔をする。
「以前から可能性は考えてたんですけど、試す機会が無かったんで」
「なんだ?」
「リセットする能力、瑠璃のものなのかなって」
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