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瑠璃が浄一を好きなのと同じ、いや、それ以上に浄一はこの美しい妹を愛していた。
華奢な体、滑らかな肌、長い髪、表情豊かに自分を見つめる大きな目、全てが愛らしく、瑠璃が小学生の頃から浄一にとって性欲の対象だった。
そんな浄一にとって両親の存在は、どこか邪魔なものだった。
殺したいだとか、死んでよかったとは思っていない。
でも、生きている頃に戻れるとしたら?と言われても、瑠璃を好きにできる生活は捨てられない。
妹を抱きしめてソファーに倒れ込もうとしたとき、浄一のスマホに着信があった。
不機嫌そうに、妹を押し戻して応答する。
「はい、ええ・・・見ましたよ、それしかやってませんから、そうですか・・・これから迎えに?わかりました、支度しておきます」
電話を切ると、不安そうな顔の妹を見る。
「瑠璃、仕事が入った、手伝ってくれるかい?」
瑠璃は少し躊躇ってから、こくんと頷いた。
従順な妹の髪を撫でて優しく囁く。
「いい子だ、帰ったらたくさん可愛がってあげるよ」
政府関係者という以外、詳しいことはわからない黒スーツ姿の男たち。
ワンボックスの後部座席はカーテンが閉ざされ、外の様子は見えない。
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