3人が本棚に入れています
本棚に追加
「お兄ちゃん、おはよう」
夏休みも10日程過ぎた一日の始まり。
瑠璃は高校一年生、兄の浄一は大学二年生の兄妹。
二人の両親は一年前に事故で他界していた。
それでも、優秀なお兄ちゃんが政府の機関から依頼されるお仕事の収入で、不自由のない生活をさせてもらっている。
何より、瑠璃が両親の死から早く立ち直れたのは、お兄ちゃんのおかげ。
両親がいた頃は、隠れてキスしかできなかった。
スリルと背徳感に興奮するけど、物足りない日々。
事故の後慌ただしく葬儀を終え、がらんとした家の中で不意に襲ってきた寂しさ。
泣きながら縋り付いて、初めてお兄ちゃんと結ばれた。
どんなに悲しくても、お兄ちゃんがいてくれれば生きていける。
だからお兄ちゃんが望むなら、何でもさせてあげる。
浄一がソファーに座りテレビを点けると、総理大臣暗殺の緊急特番が流れていた。
「怖いね」
浄一は優しく瑠璃の肩を抱くと、滑らかな顎の感触を確かめるように指を掛け、上を向かせた。
「大丈夫、瑠璃は俺の言う通りにしていれば、何も怖いことなんか無い」
「うん」
軽く唇を触れ合わせてから、もう一度しっかりと重ねあい舌を絡めた。
最初のコメントを投稿しよう!