俺の秘密

　ひょっとしてと、スマホで「猫」「チョコレート」で検索してみた。すると、「猫にチョコレートは危険」というサイトがすぐ見つかった。これだ！
「由香、ごめん。俺が食べかけのチョコを枕元に置いておいたら、ココが食べたようだ。猫にチョコは危険らしい。すぐ動物病院に連れて行った方がいい」
「ええ。動物病院の場所は知ってるから、私が運転する。あなたがココを抱っこして」
　ええっ、猫を抱くのか、この俺が……　
　一瞬、ひるんだ。
　だが、この期に及んで、猫が苦手なんて、通用しない。意を決して、ココをバスタオルの上に乗せ、両手で抱っこして、後部座席に座った。　　
　肩は緊張で強張り、額には脂汗が滲んでいる。心なしか、心臓の音が大きく聞こえる。
　ココをちらっと見ると、目を大きく見開き、気分が悪そうだ。
「ココ、がんばれ！」と言い続けた。
　動物病院に着き、看護師にココを手渡した俺は、思わずその場に崩れそうになった。
　処置室へは由香だけが入り、院長と話をしているのが聞こえる。