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如月逸也はいわゆる元ヤンである。中学生の頃、クラスの委員長に一目惚れしたことをきっかけに、更生を決意した。それでも、学力の差から同じ高校には通えなかった。逸也はひたすら地道に学力を上げ、大学では理数科に合格した。委員長に釣り合う男になれただろうか? それを問う機会がようやく訪れた。成人式後の同窓会である。逸也は委員長を探し¬――そして名札に書かれた彼女の名前を見つけた。
「み、三越さん……ですか……?」
「え? 如月くん!?」
金髪にピンクのインナーカラー、まばゆいばかりのアイメイク、バッチバチの睫毛エクステ。どこからどう見ても今時のギャルだ。黒髪ロング清楚系委員長の変化に、逸也は戸惑いを隠せない。
「三越さん、ふ、雰囲気変わったね……?」
「如月くんこそ!!」
今の逸也は昔の金髪もやめ、黒髪に眼鏡にネルシャツのザ・理数科男子のいでたちだ。
「如月くんヤンキーだから、ギャル好きだと思ってたのにな……」
三越さんはそう言って肩を落とした。その言葉に逸也は慌てて反論する。
「僕は、三越さんは真面目な人が好きなんだと思ってた……」
「え?」
どうやら同じ思考だったらしいと、二人は顔を見合わせる。
「……僕は、どっちの三越さんも好きみたいだ」
「……私も」
この状況でも全く問題ないと判断した二人は、改めて、また会えてよかったと思うことができた。
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