兄を追いかける

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 とある地方の田舎町に暮らす、上野(うえの)達也(たつや)、彼には、ほぼ1歳年上の兄、弘也(ひろや)がいる、しかし、彼らは同学年だ。どういうことか。別に弘也が留年したわけではない。実は、兄・弘也の誕生日は4月3日。その後、弘也の両親が“年子”を望んだこともあり、その年の8月に第2子を妊娠する。第2子は翌年の5月に生まれるはずだったが、こともあろうか、妊婦が体調を崩す。結局、医師の判断により、“早産”を余儀なくされ、同一年度内の3月30日に生まれることとなった。  幸いにして、母子ともに健康で、無事に成長をしていったが、やはり早産の影響は大きく、同世代の子に比べて、達也は、その成長が若干遅いことは否めなかった。  4年生を迎え、弘也は地域の少年野球クラブで活動をはじめる。2か月後、達也も兄も背中を追いかけるように、同じチームに入る。もちろん1年のハンデは大きいが、しかし周囲は彼らを“同級生”と見る。達也にとってこれは大きなプレッシャーだった。  ただ単に、年上の兄や姉の背中を追いかけるのとは、どうも勝手が違うようです。
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