強迫性障害、パンデミックと再会

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 清治が留学の思い出を言い終えた後、れいなはアラブ諸国の旅行を言い始めた。モロッコの海で遊んだり、アルジェリアの砂漠で駱駝に乗ったりするなど、全ては興味深い。清治は、今日、日向ホテルに泊まって本当によかったと感じた。れいなに教えてもらったことは、三万字ぐらいの短編小説の素材になるほど多かった。  しかし、あっという間に二時間が経ち、プールの営業時間は終わった。清治とれいなはプールを離れて更衣室の前に手を振って別れを告げた。  タオルを肩にかけるれいなは急に更衣室へ入り、ロッカーから携帯を取ってまた戻った。 「今日は楽しく話しましたから、連絡先を交換して、次、一緒に食事に行きましょう」 「こちらこそ。れいなさんと食事に行けばきっと楽しいと思います」  清治はこういう大切な事を忘れた自分がバカだと思う。二人は携帯番号とメールアドレスを交換した。 「私は30歳ですよ。清治さんは? 肌が綺麗で多分私より若いですよね?」 「ありがとう。来月は27歳になります」 「若いですね。輝く未来は清治さんを待っていますよ」  お別れの時、清治はまた虚しいと感じた。「輝く未来」というのは本当に存在する? もしこの一生、強迫症に苛まれれば、希望を抱けるのか? と彼の頭がまた混乱になった。 「れいなさんはまだ若くて、元気な美人なんですよ。では、また」  清治は強いて笑顔を作ってれいなを褒めた。毒虫に囲まれた呪い用の藁人形のイメージは、また彼の頭に浮かんだ。未来にも強迫症が彼を待っている。  二人は更衣室に入った。ドアが閉まった後、偶然に出会った二人はまた自分の世界に戻った。あの誰もいないプールは、まるで存在すべきではない歪んだ時空のようだった。今、全ては元に戻った。
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