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「それじゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
必要なものは先に送ってしまったから、いつも通りに、だけども朝は早めに雅也くんは家を出て行った。
今したこの短く触れただけのキスから、しばらくのあいだ彼に触れられないと思うと、すでに寂しくなってしまっている自分がいた。
ーーー大丈夫って思ったけど、わたしの方が半年も側にいられないことに耐えられないかもしれない。
いつのまにか、こんなに雅也くんのぬくもりの虜になっていたなんて。
「……槙原さん、どうしたの。最近元気ないね」
雅也くんが拠点を移して数ヶ月ほどが過ぎた頃、勤務中、先輩である坂田さんがそう声をかけてきた。
「坂田さん。お疲れさまです。そんなに元気ないように見えます?」
「あ、うん。お疲れ。ちょっとね、みんな声まではかけないにしても心配してるよ」
「そうなんですか。それはご迷惑をおかけしてしまって」
「いや、まぁ、支障は来してないし全然なんだけど。ちょっと休憩しに行こうか?」
その彼の提案に乗って、わたしは一緒に職場からすぐ近くのカフェに飲み物を買いに行くことにした。
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