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ーーーそれで、雅也くんの住んでるところは、ここからどうやって行けばいいんだっけ。
小腹が空いたため、駅前のカフェに寄り、期間限定のアプリコットテイストの飲み物とスコーンを注文し、その中で教えてもらっていた住所を入力しスマホで経路を調べていると、見覚えのある顔が、複数人と店へやってきた。
「……あれ、待って。他人の空似かな。ここにいるはずのない彼女が見えるんだけど」
店に入るなり、わたしと目が合った彼は、一緒に入ってきたひとたちを置いてこちらへ近づいてきてそう言った。
「他人の空似じゃないよ?」
「えっ。じゃあ、幻?」
「ふふ。触ってみます?」
わたしが手を差し出すと、なんのためらいもなく彼はわたしの手を握った。
「ほんものだ……」
「よかった。雅也くんの顔が見られて」
「でもどうしてここに?」
「半年でさえも雅也くんに触れないの耐えられなくて、来ちゃった」
「まじか」
驚いた様子の雅也くんの背後から、彼の同行者が彼女さん、こんにちはと挨拶をしてくれたので、それに返すと、そのひとが再び口を開く。
「後藤、こんな冷静に返してますけど、本心めちゃくちゃ舞い上がってると思いますよ。彼女さん不足だとか言って、ここ最近はほぼほぼ休みの日はフラストレーションの解消に駆り出されるので」
「おい、余計なこと言うな……」
「あ、そうなんですか。それはご迷惑をおかけしてしまって」
「まぁおれたちも楽しんでるのでいいですけどね。フラストレーションの解消がしたいのは同じ意見ですし」
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