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「言葉にするのって、大事だよ。広瀬ちゃんこそ、佐藤に、自分の気持ち伝えた方がいい」
「なんだかものすごい実感が込められてるんですけど」
「今までそれで失敗してきて、今回も失敗しかけたから」
「これまであんだけ薄幸オーラ纏ってて、今ハンパない幸せオーラ放ってる人が言うと、大変感慨深い」
「私は臆病で、もし引き留められなければ伝えられなかったと思うけど、そのまま逃げてたら絶対余計傷ついたって、今ならわかるから」
戸田ちゃんは私の目を見て続ける。
「広瀬ちゃんに、そんな思いをしてほしくない」
「……戸田ちゃーん……!」
戸田ちゃんがもう一度私の頭を撫でてくれる。
最後に二人で会った日、佐藤はとても哀しそうな顔をしていた。私も傷ついたけど、佐藤も傷つけた。
佐藤に自分の気持ちを伝える勇気は、しばらく出そうにない。そもそも、何を伝えればいいのかが、まだよくわかっていない気がする。
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