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「杉山さん」
声を掛けると、彼女はびくっとして、ゆっくり振り向いた。
「は、はい、なんでしょうか」
「今度の土曜日、時間ある?」
「……はい?」
「朝から、たぶん三時くらいまで。夕方まではかからないと思う」
「大丈夫、ですけど……」
「これまで杉山さん見てて、自分でどこがわからないかすら把握できてないのかなと思ったの。だからその確認がしたくて。休みだから給料出ないけど」
「え! いいんですか?」
あれ?
さっきまでのびくびくしたのが、とれた?
「ぜひ! ぜひお願いします!」
「あ、うん、よろしく」
「お昼! お礼代わりにお昼、私が持参するので! 先輩は何も持たずに来てください!!」
なに、このやる気。
それから彼女は妙にごきげんで、その日の仕事はいつもよりもかなりうまくこなしたように見えた。
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