神様はいつもきまぐれ

その６・杉山さんとお弁当

「よろしくお願いします！」
「こちらこそよろしく……」

　土曜、杉山さんはめちゃくちゃ気合が入っていた。こっちがちょっとびびるくらいに。

　パソコンをどれくらい扱えるのかと、コピー機やFAX等の事務機器の操作全般、後は紙資料の扱い、そんなごく基本的な部分を確認することが、こんなに有効だとは思ってなかった。

　パソコンの扱いは苦手なんだろうな、と思っていた。マウスを動かす手が、いつもなんだか生まれたての小鹿的に震えているので。
　タイピングは、ミスタッチが多いし、そもそもの打鍵が遅い。一分七十文字切ってたら、まあ、作業つらいよね。これは自力で練習してもらうしかない。
　ダブルクリックとドラッグが危ういのも練習しかないけど、それだけじゃなくて、どこを狙っていいのかが今一つわかってないんだ。

「画面表示拡大してみたら」
「……え？　……あ、あの……どうすれば」

　私にとっては知っていて当たり前の操作だったから、まさか知らないなんて思いもよらなかった。
　画面を拡大して狙う場所を教えると、ああ！　ここなんだ！　と嬉しそうに操作をこなしていってる。特に、Excelの操作は、え、そんな基本を知らないんだ？　みたいなのの連続で正直びっくりしたけど、今までの状況に納得もした。シートのコピー知らないから、無駄にファイルの数が増えていたのか。どのファイルだっけ？　みたいに探してること、めちゃくちゃ多かったもんな。