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その7・腹が減っては戦ができぬ
冷蔵庫がついに壊れた。
冷蔵庫のコンセントを抜く。中のあかりがすっと消える。
終わった。ほんとに終わった。
「壊れたら、俺に声掛けて」
佐藤、そう言ってたな。また一緒に選んでくれるつもりだったのかな。
佐藤と社外で会わなくなってから、ごはんを作るのがひどく億劫になってしまって、今、冷蔵庫の中にはほとんど何も入ってない。だから、新しい冷蔵庫なんかなくても、生きていける。とりあえず当座は。
私を救ってくれたのは仕事と仲間だった。
少し目をかけてあげるだけで着実に成長していく杉山ちゃんが可愛くて仕方なくなってきた。それを彼女も感じ取っているのだろう、安心して作業に取り組んでいるのがよくわかる。それに伴ってミスも激減した。
練習がてら、杉山ちゃんとお互いの作業をダブルチェックするようになった。チェック作業に慣れてくれるといいな、と思って始めたことだけど、私の作業内容を知ることで、自分の作業の全体像がつかみやすくなっているようだし、私も杉山ちゃんの資料を見て、今こんな案件が進行中なんだと把握できるようになった。
そして、逆に私のミスを教えてもらうこともある。ありがとうとお礼を言うと、「広瀬先輩、以前『最後の方になると集中力切れる』とおっしゃってたので、後半を先にチェックしてます!」なんて、笑顔で言ってくれたりする。目線を変えるためのダブルチェックだけど、思わぬ自分の癖に気づかせてもらったり。
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