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その9・のぞむところだ!
一度目が合ったら、もう、止まることなんてできなかった。何かを身に纏っているのは、不自然だ。キスをしながら、互いのボタンを少しずつ外しあう。
「これ、自分で脱いだ方が、早いかな」
「んー、でも、脱がせたいし、脱がせてほしいよ、俺」
「ちょっともどかしい」
「まあ、会ってなかった時のこと考えたら、それもまたよし」
確かに、そうかもしれない。
「俺、身体目当てにされるとか、初めてだよ」
祥が笑いながら言う。
「うっそだあ。あんなにいっぱいさわったり、いろいろしてきたくせに」
「ほんと淡泊な方だったんだって。一、二か月しないとかザラで浮気疑われたりしたし、逆に寝取られたりもしたし」
「え? そうなの?」
「思わず言っといてアレだけど、普通は聞きたくないもんなんじゃないの? そういうの」
「普通だったら、まあ、そうなんだけど。今までの行動と全然違うから、想像がつかなくて、気になる方が勝った」
「うーん、あんまり印象に残ってないな、今までの。それより休日は疲れてるから眠ってたかったし」
「最低」
忘れるなよ。でも、それくらい、そういう行為に今まで執着なかったことはわかったし、私に対する態度がいかに特別なのかも実感はする。
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