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「遥」
行為を終えて、少しぼんやり過ごしていると、不意に呼びかけられた。
「なに?」
「冷蔵庫とか洗濯機とか、そんなに買い替えるものじゃないから、壊れたら俺の家に来ればいいって、言おうかと思ってた。でも」
そう言って、祥はしばらく黙った。そしてまた私の目を見て続ける。
「俺が、遥と一緒にいたい。何も壊れなくても。何があっても、何もなくても」
人生晴れたり曇ったり。嫌なことが続いてやりきれない気持ちになることもある。でも、見えてなかっただけで、とびきり素敵なことが隠れてたりもする。
神様はいつもきまぐれで、意図なんか全然わかんないけど。それを楽しめる相棒と一緒なら、きっとやっていける。
祥の言葉に、私は一言、笑顔で返した。
「のぞむところだ!」
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