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黒のスニーカーに、獅童が足を入れる。数歩歩き、勢いをつけて空中を蹴り上げて着地する。その後も数回跳び跳ねると、頷いて白亜とアイザワの元に歩いてきた。
「すげぇ。着地の時の振動が段違いだ」
「でしょお? 獅童ちゃんは筋肉がしっかりあるから余計感じると思うわぁ」
アイザワが嬉しそうに言う。獅童が履いているのは、「Xero Gravity」改良型モデルだ。三葉スプリングがオニヅカHDの傘下に入り、三葉の技術部とオニヅカの技術部とで共同開発した新作ホバースニーカーである。
「獅童、練習行こう。次の日曜までに仕上げなきゃ」
白亜が履いているのも同型の白いホバースニーカーである。オニヅカの技術のお陰で、出力と姿勢制御性能が以前よりも格段に上がっている。
「まさか、またタッグで試合する羽目になるなんてな」
意外や意外、ヴィクトール達との試合以降、白亜と獅童には、度々タッグでの試合の申し入れがあるのだった。
「俺は白亜、お前と戦いてぇってのによ……」
「ま、機会はいつでもあるよ」
獅童が白亜の横に並ぶ。練習用のスタジオまで連れ立っていく背中を、アイザワが笑顔で見送っていた。
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