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「夢の幻と君と」
病室に響いた無機質な音と、だんだんと冷たくなっていく誰かの手を、僕はずっと忘れられないでいる。
*
目が覚めたら、真っ暗な森の中にいた。さっきまで、病室で寝ていたはずなのに。起きたら病室ではなく、森の中だった。
「夢か」
この、今見ている風景を、起こっている事柄を、夢だとわかっていても。
夢を夢だと、夢幻だと、現実ではないことだと、証明する術はあるのだろうか。
夢から覚めるにはどうしたらいいのだろうか。目を閉じて開けば、夢から覚めるだろうか。
夢から覚めますように。と願いながら、目を閉じた。
数秒経ち、目を開けたが、まだ森の中だった。
だが、さっきまでと少し違う気がした。
今まで真っ暗だった、深く暗い森の中に、一縷の光がそこにはあった。
僕は一縷の光を追った。
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