第二章

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第二章

 その日は朝から雨で、重苦しい天気だった。  窓は閉め切っており、私の部屋の湿度は高かった。  暑いとも何とも感じなかったが、体が脱水症状になっていたらしい。  気がつくとベッドから落ちて床に倒れていた。  体は震えているが、動けない。  もがいているうちに、黒い塊のようなものがうっすらと見えた。  目をこらすと、どこから入って来たのかわからない、黒い子猫の姿が見えた。  子猫は私のところまで来ると、唇を舐めてきた。  しばらくすると何処かに行き、また唇を舐める。  それが繰り返されるうちに、私は頭がはっきりしてきた。    ‥‥この子、私に水を飲ませようとしてる。  キッチンで水を口に含んで、私の口に入れているんだ。  そのうち体が動けるようになり、立ち上がれるようになった。  子猫は首を傾げて「ニャア」と鳴いた。  私を導くように前を歩き、こちらを振り向いて、尻尾を揺らす。  私は夢中で子猫の後を追い、キッチンの前に辿り着いた。  ‥‥水を飲ませたかったのね。  蛇口を捻ると大量の水が流れる。  私は夢中でそれを飲んだ。  当然、頭痛と寒気を感じた。  昨日まで何も感じなかったのに。  体の異常を感じたので、パパに電話をして、それから救急車が来て、私は入院した。  幸い脱水症状は軽かったので、入院は一日で済んだ。
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