第三章

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第三章

 その日から子猫はフラッとやって来てくるようになった。  家に住み着いたわけでなく、気がつくと居なくなっている。  大体寂しくて仕方ない時に現れて、添い寝してくれる。  私はこの子の呼び名が欲しくて、名前を付けた。  女の子だったので、ノアと言う名前にした。  ノラ猫ちゃんだったので、「ノラ」と思ったが、可愛らしく「ノア」にした。  その日から、ノアとの生活が始まった。  パパに紹介しようとしても、パパを呼ぶと姿を隠してしまう。  恥ずかしがり屋さんなのかな。  数ヶ月経つと、ノアのおかげで学校に行けるまで回復した。  気が弱かった性格も少しづつ改善して自分から声をかけられるようになり、友達が出来るようになった。  その頃からノアが部屋に現れなくなった。  近所のどこを探しても見つからなかった。  そう言えばあの子は何処から来ていたんだろう。  会えるのが当たり前になっていて、考えもせずにウチの子猫だと思っていた。  何処かで飼われていて私のところに遊びに来ていたんだろうか?  でもなぜかまた会えるような、出逢った時のように突然現れるような気がして、寂しくはなかった。  二度目の出逢いは、友達と喧嘩した日に、  三度目はパパに怒られた時に、四度目は転校した日に現れた。  そしてノアと過ごし、私が元気になると居なくなっている。
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