第四章

1/1
前へ
/7ページ
次へ

第四章

 そう言えば、彼と出逢えたのはノアのおかげだっけ。  あの日、私はノアを追っかけて、偶然拾ったキャラクターグッズから彼と知りになった。  一目で好きになった。  当時大好きだったアニメの「私の知らない青木くん」。  霊能力を持った黒猫と、イケメンだけど優しすぎる青髪の青木シオンくんが心霊事件に巻き込まれるストーリー。  彼はそのシオンくんにそっくりだったから。  彼の名前は長谷川大翔(ヒロト)くん。  シオンくんのそっくりさんがシオンくんのキーホルダーを持ってるなんて、笑っちゃうよね。  当時あまり人気がなかったそのアニメを彼も大好きで、二人で盛り上がったっけ。  そこから付き合って、私の初めての彼氏に。  まあ、なんだかんだでその恋は終わってしまったけど。  別れた後、ノアがやって来てくれた。  ノアは以前と変わらず私に寄り添ってくれて、涙を拭ってくれた。  何ヶ月も引きずったけど、ノアのおかげで立ち直れた。  そのあとは大学、就職、結婚と、めぐるましかったので、孤独になることはなく、ノアもいつのまにか会いに来なくなっていた。  だからあれ以来ノアと会えていない。  私はもう32歳。  猫の寿命は長くて18年くらい。  出会ってから24年経ってるもん、ノアももういないよね。  最後に、もう一度会いたかったな。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加