19人が本棚に入れています
本棚に追加
「みんな無事か! 白と騎士の国が見えてきたぞ! そのまますぐに本城へ乗り込む!」
ソーニャが一体の獣を斬り伏せながら叫んだ。
俺も獣を斬り伏せながら、北の方角を見ると、濃い白煙で覆われた広大な王城があった。その周辺には真っ白な様々な建造物が建ち並ぶ厳かな城下町が佇む。まるで、白い雪が降り積もっているかのようだった。
段々と、白き輝く希望が、トルメル城の裏門の入り江へ近づくにつれ、腐敗臭が強くなって来た。
俺は鼻を抑えた。
「な、なんて……ひどいんだ……」
トルメル城は、腐敗がかなり始まっていた。
ぶすぶすと至る所から煙を発し、見たこともない魔物が外廊下や内廊下を徘徊している。人はいない。
無人だった。
ここに、暴君クラスド・エドガーが……。
甲板のまだいる獣をほったらかして、トルメル城の入り江に飛び込んだ。
「うん??」
地面の砂が何か変だ。
ぐしゃりとしている。
「う、うわ!!」
それは腐り落ちた何かの腕だった。
周辺には、同じような得体の知れないものが地面に落ちている。
は、早く!
元凶を倒さないと!
クラスド・エドガーは、謁見の間にいるはずだ!!
最初のコメントを投稿しよう!