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入り江から正門まで、俺は走りに走る。
ねっちょりとした白い砂浜を駆け。
幾度も得体の知れないものを踏んづけた。
やっとのことで、たどり着いたトルメル城の正門は、やはり白く覆われていた。ぶすぶすと煙を巻き上げ、腐敗している。
仕方なく。正門を神聖剣で、叩き割って、俺は謁見の間まで、廊下をまた走った。
城の中は獣の数が増えてきた。
おびただしい白い煙を躱しながら、斬り伏せて、斬り伏せて。
ようやく、二階へといく石階段のところへたどり着いた。
その時、俺は右肩に鋭い痛みを覚えた。
右肩辺りのワイシャツがいつの間にか大きく破れていて、白い煙が直に肌に当たっていたのだ。
「つつつつつーー……痛ってえええ!」
俺は顔をしかめて、二階の階段を上がる。
だが、二階の階段上に巨大な腐敗した象のような獣が佇んでいた。
象はノシノシと、俺に接近してくる。
俺は軽いステップで、逆に相手に素早く近づくと、神聖剣でまず長い鼻を切り裂く。それから、巨大な象が暴れ出したので、後しろへ空中で一回転してから、鋼雲剣を放った。
「鋼雲剣!!」
光の爆速は全て、象を貫通する。
腐敗した巨大な象がぶっ倒れた。
それと同時に周囲に白い煙が充満した。
「ふうーっ」
俺は苦しい息でも急ぎ。階段を上がり、踊り場へ出た。
「うん??」
二階への廊下は今にも静かに腐り落ちようとしていた。
足場がかなり悪い。
だが、荘厳な謁見の間への大扉はすぐそこにあった。
俺はジャンプして、大丈夫そうな足場へと着地しては、それを繰り返した。謁見の間の大扉までくると、神聖剣で扉を破った。
「やった! ここまで来れたぞーーー!!」
けれども、玉座には……暴君クラスド・エドガーの姿はなかった。
………
「奴は……祭壇にいるぞ。鬼窪くん」
「?? その声はオニクボ?!」
振り向くと、オニクボが左腕を真っ白にしながら、佇んでいた。
「ははっ! 俺としたことが、ドジっちまいやがった……」
「え? え?」
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