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5. 通学路
その夜、ベッドの上で待っていると、二宮さんが現れた。
「二宮さん」
「先生、どうだった?」
「それが……」
組長とのやり取りを説明した。
「そうか、任侠道、男の道か、おやじが言いそうなことだな」
二宮さんは苦笑いしている。
「どうしましょう」
「あんた、あの女子高生の顔を見たよな」
「あ、はい。一瞬でしたが」
「俺が覚えているのは、学生鞄に可愛い白熊のぬいぐるみが下がってたことだ」
「白熊ですか」
白いテディベアってことかな。
「なんとか、探してもらえないだろうか」
「はあ」
僕は迷ったが、乗りかかった船だし、僕の生徒達の身の危険にも関わることだ。
「わかりました」
僕は約束した。
次の日、僕は出勤前と夕方、駅に立ってあの女子高生を探すことにした。
朝は、通院という名目で学校を遅刻した。一時間目の授業は音楽だったので、生徒に影響はない。朝の集まりだけ、副担任の先生にお願いした。
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