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「それが本当だと信じられたらいいんだが、ただ夢枕に立っただけじゃなあ」
「本当なんです。二宮さんは、組が報復に動いたら大変なことになるって心配して、僕の所へ出てきたんです」
「しかし、なんであんたなんだ。俺の夢枕に立てば、信じてやれるんだが」
「いや、それが……」
霊道がここには通ってない。そう説明しようか迷っているうちに、組長は僕の顔を見てきっぱり言った。
「あんたの話はわかった。しかし、このまま黙っていたら、息子同然の可愛い子分が殺されたのに、報復もしない情けない組長ってことになる。だから、証拠だ」
親分はきっぱり言う。
「証拠?」
「ああ。あんたがその女子高生を連れてくるか、警察に連れて行って事故だと立証したら、報復はしない」
「ええーー!」
「それができなければ、報復しかない」
「でも、やってもいないのに報復なんてされたら、龍泉会だって黙っちゃいませんよ」
「報復に報復があるのは仕方がない。それが任侠道、男の道ってもんだ」
「そんなあ」
これ以上話すこともなく、がっくり肩を落として僕は組事務所を出た。
――皆戸組と龍泉会の全面戦争で小学生人質――
――小学校の校舎爆破――
――本町、大町一帯銃撃戦で壊滅――
ますます嫌なイメージが湧いてきた。
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